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認知行動療法で適応障害を治療するために抑えておきたい3つのポイントを解説

認知行動療法 適応障害
更新日:2024/05/29

認知行動療法で適応障害を治療するために抑えておきたい3つのポイントを解説

認知行動療法はさまざまなメンタル系疾患に対し有効な治療法の一つとして広く知られています。

今回は、適応障害(Adjustment Disorders)の治療で認知行動療法が使われる場合についてまとめていきます。

認知行動療法はどこで受けられるのか、どうやって自分に合う専門機関を見つければいいのかなど、抑えておきたいポイントを分かりやすく解説します。

適応障害とはどんな病気なのか

まずは適応障害の具体的症状や原因、診断基準について確認しておきましょう。

適応障害の症状

適応障害とは、環境の変化に適応できない状況が続き、ストレスがかかり続けたことで心身に不調が起きた状態の時に診断されます。こころとからだ、両面に症状が現れます。

主な症状は以下の通りです。

◆抑うつ気分
日常生活に対する興味や喜びが失われ、悲しみや無気力状態が続く。

◆不安感
強い恐怖や焦りを感じ、時にパニックになることもある。涙が出たり、動悸・息切れが起こることもある。

◆自律神経の乱れ
原因不明の頭痛・胃痛・不眠などが頻発する。ストレスを感じている際、特に強く症状が発生しやすい。

適応障害の原因となるストレス

適応障害は、明確に強いストレスがかかった時に発症します。器質的な問題ではなく誰でも適応障害になる可能性があるといえます。

環境変化をきっかけとすることが多く、結婚や離婚、転職・異動、昇進など家庭や仕事の変化が原因となる場合が多いです。

変化に適応できずストレスに圧倒され続け、柔軟に対応ができなくなると、適応障害になるリスクが高まります。

ストレスの感じ方は個人によって異なります。そのため、同じ状況に置かれても、適応障害になるかどうかには個人差があるものです。

だからといって、適応障害を個人の受けとめの問題だと放置していいわけではありません。適切な対応を怠ると、本人の心身の状態が更に悪化したり、原因となった問題がさらに大きくなったり、問題が複雑化し、解決に時間を要する可能性が高くなってしまいます。

甘えが原因などと決めつけず、早い段階で休養をとったり、専門医に相談したりすることが回復のために非常に大事ですよ。

医師による適応障害の診断方法

適応障害の診断は精神科医による診察に基づいて行われるため、医者ではない個人やカウンセラーが診断を下すことはできません。

適応障害の診断基準は国際的に作られており、DSM-Ⅴ(米国精神医学会の診断・統計マニュアル)やICD-10(世界保健機関の診断基準)などが用いられます。

具体的には以下の5つの基準を踏まえて、正確に診断していきます。

基準1:ストレス要因が明確に存在する
適応障害は、はっきりとしたストレス要因がある場合に診断されます。

ストレス要因とは、主に環境の変化(転勤、結婚、失恋など)によるものです。

基準2:症状が出現している
ストレス要因に晒されてから3ヶ月以内に、こころ、からだ、または行動面に症状が出現します。

基準3:著しい苦痛や生活への支障が出ている
症状によって日常生活に支障が起きていることが確認できます。

基準4:他の精神疾患ではない
うつ病など、他の精神疾患や死別反応とは異なるといえます。

基準5:ストレス要因から離れると改善する
ストレス要因がなくなると、症状は比較的速やかに良くなります。

6カ月以内に改善されることが多いです。

適応障害の主な治療方法

適応障害の治療は、主に4つのステップに沿って進められます。

ステップ1:ストレスから離れて本来の自分を取り戻す
適応障害は、自分の価値観・常識と、置かれた環境の価値観・常識が大きくかけ離れ、それに伴う強いストレスが発生しています。

そのため、まずはストレスから離れて精神状態を安定させることが必要です。できるのであれば休職や環境調整を検討しましょう。

ステップ2:適応できない環境に向き合う
自分がその環境に合わせるか、環境が自分に合うように働きかけるか、両面から方法を考えます。一人で考えるのは難しく、治療者や家族と相談しながら進めることが大切です。

ステップ3:精神療法を取り入れる
カウンセリングや認知行動療法などの精神的治療を行います。ストレスに対する受けとめ方を変えたり、環境を調整するアイデアを得られたりする効果があります。

ステップ4:必要に応じて薬物療法を併用する
症状が強く日常生活に支障が出ているのであれば、薬による治療も併用します。

特に不眠や不安感で強い症状が出ている場合は、補助的に薬によるケアを受けます。

適応障害は、まずしっかり休養を取ることも大事だとされています。

自分にとってのストレスと距離を確保し、十分リラックスすることも忘れないでくださいね。

適応障害など精神疾患の治療に効果的な認知行動療法

ここからは、さまざまな精神疾患に対し有効であることから、世間一般に広まった認知行動療法について解説します。

認知行動療法の特徴

認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy)は、ものごとのとらえ方である【認知】に働きかけることで、様々な症状を改善していく精神療法の一種です。

誰しもが認知(ものごとのとらえ方)にいわゆる「クセ」を持っているのですが、認知行動療法では、そのクセに気づき、より適応的なとらえ方に修正していきます。

また、自分の認知のクセに気づけるようになったら、次にこれまでとは異なる行動を生活の中で試してみることも積極的に行います。

このプロセスを通じて、気分や感情を改善し、悪循環からの脱出を目指します。

認知行動療法の効果

認知行動療法は薬と同程度の効果があるとされています。主な効果は以下の5つです。

効果1:抑うつ症状の改善
効果2:不安症状の軽減
効果3:ストレス体制の向上
効果4:自己肯定感の向上
効果5:精神疾患の再発予防

認知行動療法の適応障害へのアプローチ

適応障害の治療においては、「ストレスへの対処スキルの獲得」と「ものごとの認知を再構成する方法」が適しています。

よって、認知行動療法は最適な治療法の1つであるとされており、自分にとってのストレスとは何か、またその原因とこの先どう向き合ったらよいのか、考え方を改めていくために、認知行動療法を取り入れます。

認知行動療法を医療機関で受ける時のポイント3つ

ここからは、認知行動療法で適応障害を治療するために抑えておきたいポイントについて解説していきます。
まず、医療の元で治療を受けたい場合は、【病院やクリニックなど自分にあった医療機関を選ぶ】ことです。

ポイント①:保険適用について確認する

認知行動療法は、カウンセリング機関であれば自費診療が多いですが、医療機関であれば多くの場合健康保険の対象となっています。

ただし、具体的にどのような治療が保険適用されるかは、治療法を提供する施設や保険会社によって異なるので、よく確認する必要があります。

保険適用で治療を受けたいと思った場合、まずは精神科や心療内科で診察を受け、主治医の判断によって認知行動療法の専門家につなげてもらう必要があります。

ポイント②:アクセスの良さを確認する

認知行動療法は結果が出るまでに時間と労力が必要です。標準的な治療の回数は16回程度というデータもあります。

そのため、評判がよいからと遠方の病院を選んでも、通院自体が大変で継続が難しくなる、というケースも多いです。

まずはお近くの病院や、自分の通勤・通学のルートからも通院しやすい病院に絞って、認知行動療法を受けられる病院を探してみてもよいですね。

ポイント③:認知行動療法に精通した専門家がいるか確認する

認知行動療法を専門的に行うのは多くの場合臨床心理士や心理心理師など、心の専門家です。医者以外にも、こうした心理の専門家が在籍しているのかどうか、確認してみるとよいでしょう。

認知行動療法を自分でやる方法

認知行動療法を自分で進めていく場合、【自分にあった正しい方法をしっかり見つける】ことが大切です。

認知行動療法に興味があっても、医療機関や専門機関に行くにはハードルを感じる人もいるかもしれません。その場合は、以下の手順でまずは自分で試してみてもよいでしょう。

手順1:自動思考を観察する
自動思考とは、ストレスを感じた時に勝手にものごとを評価している考えやイメージのことです。

手順2:考え方のクセを見つける
自動思考を分析して、やけにネガティブで偏った受けとめ方を見つけます。

手順3:考え方を置き換える
同じできごとに対して、別の受けとめ方、できればポジティブな考え方がないか考えてみます。

手順4:新しい行動をする
新しい考え方に基づいた行動を実践してみます。

認知行動療法に向かない人はいるのか

認知行動療法は多くの方に効果があるとされていますが、下記のような条件下ではあまり効果を発揮しない可能性があるので、注意が必要です。

①症状が強く出ている
心身に強い症状が現れていて、心が不安定な時には薬物療法など他の治療を優先した方がよいでしょう。

②治療に前向きではない
本人に「回復したい」という気持ちがない中で認知行動療法を実施しても、あまり効果は得られません。

③辛い経験の直後
分析の中で辛い経験に直面しなければならないこともあるので、認知行動療法に取り組むエネルギーが足りないかもしれません。

認知行動療法のアプリなど活用しながら適応障害を克服しよう

認知行動療法は現在も研究・進化が進んでおり、バリエーションも増えています。

自分一人でやるには限界がある、うまくいかないと思った時は、専門家のサポートを得られる環境にアクセスしましょう。

医療機関に抵抗があれば、マインドバディなど認知行動療法のカウンセリングサブスクサービスを行っているアプリを利用するのも一つの手です。

一人では限界で、認知行動療法は自分には無理だと思っていても、専門家の助言があれば、自分に合った認知行動療法のやり方を見つけられるかもしれませんよ。

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