認知行動療法と薬物療法の比較
※Robert J DeRubeis et al. (2005).
認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy: CBT)とは、「認知(考え方)」と「行動」にアプローチすることで、心の問題解決を目指す心理療法です。
もともとはアメリカの精神科医アーロン・T・ベックが、うつ病に対する精神療法として開発したものですが、うつ病以外にも、不安症や強迫症などさまざまなメンタルヘルスの問題に対して治療効果と再発予防効果があると言われています。エビデンスに基づいた治療法として広く知られています。
ペンシルベニア大学の研究によると、認知行動療法の回復率は薬物療法と同程度であり、再発率は薬物療法よりも低いことが立証されています。
※Robert J DeRubeis et al. (2005).
認知行動療法では、ストレスや不安を感じた具体的な出来事を取り上げて、その出来事が起きた時の「頭の中に浮かんだ考え(認知)」「感じる気持ち(感情)」「体の反応(身体)」「振る舞い(行動)」という4つの側面に注目します。
私たちの気持ちや行動は、その出来事が起きた時の「認知」に影響を受けます。認知とは出来事に対する「考え方」「受け取り方」という意味です。同じ出来事・同じ自分だとしてもその時々によって感情・体の反応・行動が違うことがよくあります。 具体的な例を見ていきましょう。
出来事
上司に挨拶をしたが、返事がなかった
出来事
上司に挨拶をしたが、返事がなかった
1.認知 : その状況に対して最初に頭に浮かんできた思考やつぶやき
「上司は私のことを嫌っているのかもしれない」「私は何か間違ったことをしたのかもしれない」
2.感情 : その認知に対してどのような感情が生じたのか
悲しみ、焦り、不安で胸がいっぱいになる。自己嫌悪に陥ってしまう
3.行動 : その感情に基づいて、どのような行動を取ったか
「上司と関わることを避ける」「仕事に集中できなくなる」「他の同僚への挨拶も怖くなる」
4.身体 : その感情や行動に対して身体がどのように反応をしたか
動悸や落ち着かない感覚があり、寝付けない、緊張感が常にある
ますます焦燥感が募り、マイナスな感情が増え、常にストレスフルな状況になってしまう
4 つの側面は、それぞれ相互的に影響していると考えられており、具体例のように悪循環を起こしていることも少なくありません。整理・分析を通じて、自分のストレス反応のパターンに気づき、さらなる悪循環に陥らないように調整していくことを目指します。
一般的には、「感情」や「身体」は自分の意志でコントロールすることは難しく、「認知」と「行動」 は自分の意志でコントロールしやすいものと言われています。
例えば、「悲しむのをやめてください(感情)」や「腹痛をとめてください(身体)」と言われても難しいですが、「他の考え方はないかな?(認知)」と視点を変えたり、「とりあえず小さな行動をしてみよう(行動)」と試したりすることは可能です。
そこで認知行動療法では、この「認知」や「行動」の幅を広げたり、変えていったりすることで、気分や身体を楽にして、ストレスとうまく付き合っていけるようになることを目指していきます。
まずは、あなたの悩みやストレスがどのような状況で起き、心や体にどのような反応が出ているのかを整理します。
問題の整理
「認知(考え方)」「感情」「行動」「身体反応」の4つの領域がどのように関連し、悪循環を起こしているかを確認します
目標の設定
カウンセラーと協力して、どのような状態を目指すのか、実現可能な目標を共有します
アセスメントで整理した課題に合わせて、「考え方」や「行動」を柔軟にするための具体的なスキルを学び、日常生活で練習(宿題)を重ねます。
コラム法
(認知へのアプローチ)
エクスポージャー法
(行動へのアプローチ)
問題解決技法
(問題へのアプローチ)
最終的には、自分自身で不調に気づくことができ、身につけたスキルを活用して、心の健康を維持できる状態を目指していきます。
心の活動の理解
自分の思考や行動のパターンに自分自身で気づくことができ、柔軟に対応できる状態を目指します
セルフケアの実施
困難に直面した際、身につけたスキルを活用し、健やかな状態を自分自身で維持できることを目指します
言葉だけを聞くとなんだか難しそうと感じてしまうかもしれませんが、すべて日常生活に取り入れられるものばかりです。マインドバディであれば、専門家(公認心理士/臨床心理士)と一緒に認知行動療法のスキルを身につけていくことができます。あなたにとって必要なスキルを一緒に身につけていきましょう。