心の悩みを解決する方法には、精神科・心療内科への受診、もしくはカウンセリングを受ける方法などがあります。
病院やクリニックではなくても、カウンセリングを受けられる場所はありますが、精神科の場合はどのような感じなのでしょうか。
今回は、精神科に勤務経験のある公認心理師・臨床心理士が、精神科のカウンセリングや診察との違いを解説します。
臨床心理士/公認心理師
いけや さき
心理職として精神科病院や心療内科クリニック、児童発達支援事業所での勤務を経て、現在はフリーのカウンセラー、児童精神科の心理士として活動中。またマインドバディ株式会社をはじめとする複数の会社とライター契約し、心理学やメンタルヘルス、ライフスタイルに関するライター活動も行っている。
精神科のカウンセリングとは?
精神科で行われるカウンセリングとは、心の専門家が患者の話を伺い、問題解決に向けた援助のことです。
すべての精神科で受けられるわけではありませんが、診察とカウンセリングは全く別のものとなります。
精神科の診察とカウンセリングの3つの違い
はじめて精神科を受診する人は、診察とカウンセリングの違いがわからない人も少なくありません。
当項目では精神科の診察と、カウンセリングの違いを次の3つの視点から解説します。
②時間
③目的
1つずつ詳しく見ていきましょう。
違い①:担当者
精神科の診察は、精神科医が担当します。
一方、精神科のカウンセリングは、公認心理師や臨床心理士などの心の専門家が担当。
保険診療内の認知行動療法は、医師や看護師が行う場合が多いですが、カウンセリングは心の専門家が行うことが一般的です。
違い②:時間
診察とカウンセリングの所要時間にも違いがあります。
初診:30分以上
再診:5~15分程度
再診で30分以上の場合、30分以下の診察よりも料金がかかります。
インテーク(初回):45~90分
2回目以降:30~60分
あくまでも一例であり、病院やクリニックの方針によって所要時間は異なります。
違い③:目的
診察とカウンセリングは、実施する目的にも違いがあります。
・精神症状の治療
・問診と診断
・薬物療法
診察は、薬を処方するために必要な話を伺い、症状の治療をすることが目的です。社会適応のために、助言や生活指導を行う医師もいますが、すべての精神科医が行うわけではありません。
・悩みや困りごとの解決や支援
・根本的な課題解決に向けた支援
・自己理解を深めるためのサポート
カウンセリングは、診察以上に患者自身の「解決したい」「どうにかしたい」という気持ちも大切になります。
精神科でカウンセリングを受ける5つの手順
精神科では、診察を受けて、医師が許可した人のみカウンセリングを受けることが多いです。
一般的な受診から、カウンセリングを受けるまでの流れを次の5つの手順に沿って解説します。
②主治医にカウンセリングの希望を伝える
③主治医から許可をもらう
④カウンセラーと日程調整する
⑤カウンセリングが始まる
すべての病院やクリニックが同じ流れではありません。実際にカウンセリングを受ける際は、病院やクリニックのサイトを確認したり、医師や受付に聞いてみてください。
手順①:診察を受ける
カウンセリングのみを希望の場合でも、多くの病院やクリニックでは「まずは診察から」という流れが一般的。
患者の状態によって、医師が「今はカウンセリングを受けると悪化する可能性がある」と判断する場合があるからです。
今から精神科を受診する人は、まず初診の予約を取って診察を受けてください。
手順②:主治医にカウンセリングの希望を伝える
カウンセリング希望の人は、初診時や再診などで、「カウンセリングを受けたい」と伝えます。
医師から勧められることが一般的ですが、カウンセリング希望の多くの方は、初診時や再診などで、「カウンセリングを受けたい」と伝える方がほとんどです。
カウンセリングを希望している人は、自ら伝えることで、早期解決にもつながりますよ。
手順③:主治医から許可をもらう
公認心理師や臨床心理士のカウンセリング業務は、精神科や心療内科の主治医の指示が必要となっています。
理由は先ほど解説した通り、状態によってはカウンセリングが症状を悪化させることもあるからです。
このような事態を招かぬためにも、精神科でカウンセリングを受ける場合、多くは主治医の許可が必須となっています。
手順④:カウンセラーと日程調整する
初回に向けて、公認心理師や臨床心理士と日程調整を行います。
カウンセリングは一度カウンセラーが固定されたら、担当者が代わることはありません。代わるとすれば、カウンセラーの退職などの理由だけでしょう。
ただし、病院やクリニックの規模や方針によって、初回のみ別のカウンセラーが行い、担当者を決める場合もあります。
手順⑤:カウンセリングが始まる
初回のカウンセラーが継続的に担当する場合、曜日や時間が固定になることがあります。
多くは初回時に説明がありますが、念のため「曜日や時間は固定になるだろう」と思っておくと安心です。
初回で話す可能性のある内容を以下にまとめました。
・これからどうしていきたいか(目的などの共有)
・病歴や成育歴など
・次回以降に向けた話し合いや説明
内容をまとめておきたい人は、紙に書いておくといいかもしれません。ただし、カウンセラーによって流れは異なるため、すべて話せるわけではないことを前提に準備しておきましょう。
精神科のカウンセリング料金は?
精神科のカウンセリングは基本的に自費診療ですが、料金は病院やクリニックによってさまざまです。
料金相場や保険適用が可能なパターンを解説します。
料金相場について
カウンセリングの料金相場は、1回60分で6,000〜10,000円となっています。
30〜45分など、短い時間でもう少し安い料金で提供するところもありますが、5,000円以上の医療機関が多いです。
保険適用の有無
カウンセリングは保険適用外(自費診療)である場合が多いといわれています。
保険適用になるパターンは次の通りです。
・医師によるカウンセリングを受けた場合(条件付き)
・集団療法を受けた場合(条件付き)
・18歳未満の方の小児特定疾患カウンセリング
一般的には上記のパターンのみ、カウンセリングも保険適用となります。
もしくは、近年は少なくなっていますが「同日に診察を受ける」「〇回以上はカウンセリングを受けられない」などを条件に、保険適用となる病院もあるようです。
精神科のカウンセリングでよくある3つの質問
最後に精神科のカウンセリングに関して、よくある質問のなかから、代表的な以下の3つを紹介します。
②カウンセリングだけ受けられますか?
③精神科医のカウンセリングは受けられますか?
カウンセリングを受ける前に、疑問を解消しておきましょう!
質問①:精神科のカウンセリングに行った方がいい人ってどんな人?
精神科のカウンセリングに行った方がいい人は次の通りです。
・身体症状に悩んでいる
・睡眠不足や食欲不振などがある
・死にたい気持ちがある(希死念慮・自殺企図)がある
精神科のカウンセリングは、医師と連携しながら行われます。処方と同時進行で、早期回復を目指せるため、上記に当てはまる人は精神科受診がおすすめです。
質問②:カウンセリングだけ受けられますか?
病院やクリニックによって、カウンセリングのみ受けられます。
たとえば、カウンセリングルームが別機関の扱いとなっている場合や、他院に通院している人のカウンセリングのみを受け入れているクリニックもあるそうです。
質問③:精神科医のカウンセリングは受けられますか?
精神科医のカウンセリング(医師の場合は精神療法)は、医師の方針によって受けられる場合もあります。
しかし、診察とカウンセリングの時間の違いで解説した通り、一般的には30分未満の診察が主流。
理由は、日々数多くの患者を診るためには1人に30分以上かけられないことと、精神療法の訓練を受けている精神科医は少ないという課題があるからです。
また、医師の精神療法を受ける場合は、保険診療内ですが「30分以上の精神療法」として再診料がかかります。
精神科のカウンセリングが自分に合うか考えてみよう
精神科は誰でも受診できますが、精神科のカウンセリングは医師の判断によって受けられない場合があります。
また、保険適用ではないため、診察料に加えてカウンセリングの料金がかかるというデメリットも。
次の特徴に当てはまる人はオンラインカウンセリングがおすすめです。
・対面カウンセリングルームが近くにない
・仕事の後に相談できる場所が欲しい
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