「インナーチャイルド」とは、子ども時代の経験から自分の中に表れるイメージです。
インナーチャイルドに問題を抱えていると、自己否定感や対人関係の問題、感情の不安定さが続いてしまうことも。
今回の記事では、インナーチャイルドを癒すためのカウンセリングの効果や具体的な方法について解説していきます。
臨床心理士/公認心理師
甘中亜耶
京都文教大学大学院 臨床心理学研究科修了。大学院修了後、発達相談を経験した後、2022年から児童精神科クリニックと保健所に勤務。精神疾患やメンタルヘルスに関して「正しい情報を分かりやすく伝える」をモットーにフリーランスのライターとしても活動している。
インナーチャイルドとは?
インナーチャイルドとは、子どもの頃に受けた経験や感情に基づき、心の中にいる幼い自分を指します。
中でも、幼少期に受けた傷やトラウマは、大人になっても感情や行動に影響を与え続けることがあります。
幼少期の影響を受け続けている状態を、「インナーチャイルドが癒されていない」と言うこともあります。
未解決の問題は、自己否定や過剰な不安を引き起こすことがあると言われてきました。
インナーチャイルドを癒すには
インナーチャイルドを癒すためには、まず自分の中にある幼い頃の感情や思考に気づくことが大切です。そして、当時の気持ちに寄り添い、理解を深めることで癒しが始まるでしょう。
カウンセリングでは、過去の出来事と向き合い、今の自分が幼少期の体験からどう影響を受けているかを理解するために適切なサポートを受けられます。
自分で癒すこともできる?
セルフケアの一環として、インナーチャイルドを自分で癒す方法もあります。日記をつけたり、瞑想を行ったりすることでインナーチャイルドと向き合えます。
しかし、特に深いトラウマや複雑な感情がある場合、専門的なカウンセリングを受ける方が安全ですよ。
インナーチャイルドのカウンセリングで得られる効果4選
インナーチャイルドを癒すことで、さまざまな効果を実感できます。例えば、以下のような変化が期待できます。
②自己肯定感の向上
③過去と今を切り離して考えられる
④対人関係の問題が改善する
効果①:感情が安定する
過去に体験したトラウマや未解決の感情が解消されることで、感情の浮き沈みが少なくなり、日常生活での感情が安定します。
効果②:自己肯定感の向上
インナーチャイルドと向き合うと、過去の気持ちや体験に折り合いをつけられます。
結果的に、自分の存在価値や自己評価を再認識できて、自己肯定感が向上します。
効果③:過去と今を切り離して考えられる
カウンセリングを通じて、過去の出来事と現在の感情を切り離して考えられるようになります。
その結果、過去に縛られず、現在や未来の自分を見つめ直せるようになります。
効果④:対人関係の問題が改善する
他者に対する依存や過度な不安といった、対人関係の問題が改善されます。
他者との関係性作りがより健全なものになるため、感情の安定にも繋がります。
インナーチャイルドを癒すカウンセリングの心構え3選
せっかくカウンセリングを受けるのであればより効果を感じたいもの。以下に紹介するような心の準備をしておくとと良いでしょう。
②感情を表現する勇気をもつ
③日常生活を大切にする
心構え①:過去の出来事に向き合う覚悟をもつ
インナーチャイルドのカウンセリングでは、過去の辛い経験や感情に再び向き合う必要があります。
そのため、辛さを感じたり、一時的に情緒が不安定になることがあります。
心構え②:感情を表現する勇気をもつ
カウンセリングでは、抑えていた感情を表現することが求められます。
プロセスが進むにつれて、言いづらいことでも表現せざるをえないことがあります。
心構え③:日常生活を大切にする
カウンセリングで過去の感情に向き合うことは大切ですが、同時に現在の生活も大切です。学校や仕事など、日常生活をいつも通り送れるようにしましょう。
辛さを感じている時にはカウンセラーに伝えて、無理のないペースでカウンセリングを進めることが大切です。
インナーチャイルドを癒すカウンセリングを受けるには
インナーチャイルドのカウンセリングを受ける際には、信頼できるカウンセラーの選び方や料金に関する情報も把握しておくと良いでしょう。
カウンセラーの選び方
カウンセリングを受ける際には、公認心理師や臨床心理士などの資格をもつカウンセラーが比較的安心です。経歴や所属から信頼できる専門家を選びましょう。
オンラインカウンセリングも選択の1つ
対面でのカウンセリングが難しい場合、オンラインカウンセリングが便利です。
自宅から受けられ、近くにカウンセリング施設がない時でも利用できます。
カウンセリング料金の相場
カウンセリングの料金は地域やカウンセラーによって異なりますが、1回あたり5,000円から15,000円程度が一般的です。
無料や低価格で提供されている公的機関もありますので、予算に応じた場所を選択をしましょう。
カウンセリングの予約~受けるまでの流れ
まずはWebサイトか電話で初回の予約を行います。
初回のカウンセリングで詳しいヒアリングを行い、カウンセリングの方向性が決めるでしょう。このときに、次回の日時や頻度も決定します。
医療機関であればカウンセリングを始める前に医師の診察が必要です。治療を安全に進めるために必要ですので、機関ごとのルールに従いましょう。
症状が酷い場合は病院へ
インナーチャイルドの問題が深刻な場合、精神科や心療内科の受診を検討しましょう。必要に応じて、薬物治療とカウンセリングを併用することもあります。
中でも、複雑性PTSD(c-PTSD)を抱えている場合、専門医による診断と治療が必要です。トラウマが深刻な場合には適切な治療を受けましょう。
悪徳カウンセリングや講座には注意が必要
カウンセリング業界には、一部の悪徳カウンセラーによる高額なカウンセリングや講座が存在します。
信頼できる専門家を選び、安易な情報には惑わされないようにしましょう。
傷ついたインナーチャイルドが感情や行動に与える影響5選
インナーチャイルドが傷ついていると、感情や行動にさまざまな影響を及ぼすことがあります。ここでは、影響を5つに分けてご紹介します。
②自己否定的な考え
③過剰な期待
④人間関係の回避
⑤依存的な行動
影響①:感情の不安定さ
傷ついたインナーチャイルドをもつと、小さなことで過度に感情的になったり、抑えきれない怒りや悲しみを感じたりすることが多くなります。
影響②:自己否定的な考え
「自分は価値がない」「失敗するに違いない」といった自己否定的な考えが根強く残り、自己評価が低くなってしまいます。
影響③:過剰な期待
他人や自分自身に対して過剰な期待を抱きがちな傾向があります。「完璧でなければならない」「期待を裏切ってはいけない」という思いが強く、結果として自分や周囲に大きなプレッシャーがかかります。
影響④:人間関係の回避
過去に人間関係で傷ついた経験があると、親密な関係を避ける傾向が強くなります。他者と距離を置くことで傷つけられることは減りますが、孤立感を感じやすくなります。
影響⑤:依存的な行動
恋人や友人、あるいはアルコールや食べ物などに依存し、自分の不安や恐怖を癒そうとすることがあります。依存行動は、根本的な問題を解決するのではなく、一時的な逃避手段に過ぎません。
自分に合ったカウンセリングを受けてインナーチャイルドの問題を乗り越えよう
インナーチャイルドが傷ついていると、感情の不安定さや自己否定感など、さまざまな問題が生じることがあります。
症状を改善するためには、専門的なカウンセリングが効果的です。自分自身を大切にしながら、インナーチャイルドを癒せると良いですね。
「マインドバディ」では、経験豊富な公認心理師から、オンラインでカウンセリングを受けられます。インナーチャイルドの問題で悩んでいる人は、検討してみてはいかがでしょうか。
参考:マインドバディ