「繊細さん」という呼び名で多くの人に知られるようになったHSP(Highly Sensitive Person)。
5人に1人はHSPの気質を持つと言われているため、自分も含め身近な人でHSP気質をもつ人は案外多いのかもしれません。
本記事では、HSPの人が繊細さによって日常生活で苦しんだ時、カウンセリングはサポート手段として有効なのか、また相談先はどこが良いのかについてまとめていきたいと思います。
自分はHSPかも?と思っている方へ
「自分は周りの人と比較すると刺激に敏感な気がする」
「みんなが気にならないことが自分だけ妙に気になってしまう」
このように、HSPは周囲の刺激や他人の目線を非常に敏感に感じ取ります。
なぜ非常に敏感に感じ取ってしまうのか、まずはHSPについて特性を理解しておきましょう。
HSPとは|なぜ繊細さんと呼ばれる?
HSPは、1990年代にアメリカの臨床心理学者エレイン・アーロンが提唱した概念です。
生まれつき感受性が高く敏感な気質をもった人が一定数いることを発表し、注目を浴びました。
日本では2019年頃にその名前が知られるように。
大きなきっかけは、武田友紀さんの著書『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』だと言われています。
その流れから、日本ではHSPを「繊細さん」と呼ぶようになりました。
HPSの特性は、大きく4つあるとされています。
1:情報を深く処理する(Depth of processing)
キャッチした情報を事細かに分析し、意図や背景を理解しようと深く考える傾向。
メリットは優れた分析力で鋭い考察ができること。
デメリットは過剰な情報量を処理することで疲労が溜まりやすい。
2:過剰に刺激を受けやすい(being easily Overstimulated)
触覚、聴覚など、五感がとても敏感で、過剰に刺激から情報を取り込む傾向。
メリットは芸術的センスなどに長けること。
デメリットは日常生活で疲れやすいこと。
3:感情の反応が強く、共感力が高い(being both Emotionally reactive generally and having high Empathy in particular)
他者の感情を敏感に感じ取り、高い共感性でより深く感情移入する傾向。
メリットは相手の立場にたち、思いやりに満ちた行動ができること。
デメリットは他人の感情を読み取りすぎて気疲れしてしまうこと。
4:わずかな刺激にも気づく(being aware of Subtle Stimuli)
五感の敏感さゆえ、わずかな環境の変化でも敏感に気づける傾向。
メリットは美術や音楽などで繊細な表現が得意なこと。
デメリットは日常での些細な環境変化でもストレスを受けやすいこと。
HSPの特性4つはそれぞれの頭文字を使って「DOES」とも呼ばれていますね。
HSPのセルフチェックリスト
自分がHPSかどうかを知りたい時は、セルフチェックを活用してみると良いでしょう。
ただ、簡易なものから正式なものまで、さまざまなチェックリストがありますので、1つ2つのセルフチェックで安易に「自分はHPSなのだ」と決めつけるのは判断を誤るかもしれません。
まずは原書を読み、その中に書かれている情報からチェックしてみるのが良いでしょう。
ウェブサイトのセルフチェックを探す場合は、医療機関が監修をしているセルフチェックであれば信頼度が高く安心です。
・「繊細さんの本」 – 武田友紀著
・「敏感すぎるあなたへ」 – エレイン・N・アーロン著
・「HSPの教科書」 – 高田明和著
≪HSPに関するセルフチェック≫
・六本木クリニック HSP診断チェック無料版
・品川メンタルクリニック HSPとうつ病の診断チェック(セルフチェック)
HSPにカウンセリングが有効な2つの理由
HSPの特性で日常生活に困難が発生した時、カウンセリングを受けることがサポートになる理由は、大きく2つ挙げられます。
理由①:HSPの特性理解が進みセルフケア力が上がる
HPSの特性と言っても、誰もが同様の特性をもつわけではありません。
細かく見れば人それぞれ違うはずです。
カウンセリングでは、その人が過敏にキャッチする情報が何かを丁寧に見ていくことで、自己理解を促進します。
すると、自分が苦手な環境や状況が分かるため、ストレスの管理やセルフケア力の向上が期待できるのです。
理由②:対人関係でのストレスが減る
HSPの人は過敏に他者の感情を感じ取るため、対人関係でストレスを感じやすい傾向があります。
カウンセリングでは、HSPではない人たちがどう状況をとらえているのか、自分ほど深く情報を分析していないことなど、他の人たちの感受性や反応を理解していきます。
すると、人間関係で程よい距離感が分かり、コミュニケーションも円滑に取れるようになります。
ただし、どんなカウンセリングでも受ければ①②のような効果が期待できる、というわけではありません。
カウンセラーがHPSの特性について理解してくれていて、敏感な方でも無理なく続けられるカウンセリング環境であることなどを、しっかりチェックしておくことは大切ですね。
HSPのカウンセリングを行うおすすめ相談先3つ
HSPのカウンセリングを受けられるおすすめの相談先を3つ紹介します。
②心理系大学付属の相談機関
③カウンセラー多数在籍のオンライン相談
それぞれ紹介していきますね。
相談先①:HSP外来の医療機関
医療機関でカウンセリングを受けたいと思う方は、HSP外来を設けている病院を調べてみるのも手です。そこで、カウンセラーによるカウンセリングが行われているのか問い合わせてみましょう。
医療機関でカウンセリングを受けるメリットは、認知行動療法などは保険診療で受けられる可能性があることや、症状が出ている時には薬を処方してもらえることです。
ただ、基本的にはHSPは病気ではなく性格傾向の話なので、具体的症状が出ている、保険診療が良いなどの条件が無ければ、医療機関のカウンセリングにこだわらなくても良いでしょう。
相談先②:心理系大学付属の相談機関
実は穴場の相談先なのが、心理学部がある大学不足の相談機関です。
勤務しているカウンセラーはベテランもいれば、実習中の学生がカウンセラーとして登場する場合もあります。
若手カウンセラーに話を聞いてもらうのは不安だという人もいるかもしれませんが、日々心理学を学んでいる学生カウンセラーたちはとても熱心に相談者と向き合ってくれます。
未熟さをカバーする熱心さが、HSPの人たちに安心感をもたらすかもしれません。
一般的なカウンセリングセンターなどと比較すると、大学付属の相談機関は低価格設定であることも魅力の1つです。
相談先③:カウンセラー多数在籍のオンライン相談
HSPにとっては、カウンセリングを受けに行く、という行動自体が非常にストレスになるかもしれません。
そんな時におすすめな相談先が、オンライン相談です。
近年はアプリ1つでカウンセリングを受けられるサービスも広がりを見せています。
特に、カウンセラーが多数在籍し、HSPに対するカウンセリングにも精通した人が存在するサービスだと安心です。
例えば、マインドバディなどオンラインカウンセリングをアプリで提供するサービスを活用すれば、相談室に通うこと自体に抵抗があるHSPの人でも、安心して自宅からカウンセリングを受けることができますよ。
HSPのカウンセリング事例3つ
実際にHSPの人がカウンセリングを受けたことでどのような変化があったのか、事例を紹介したいと思います。
②子育てママのHSPの相談事例
③学生さんのHSPの相談事例
相談事例①:働く人のHSPの相談事例
出典:カウンセリングこころの羽
あるHSPの方は、職場での人間関係や多忙な業務でストレスを抱えていました。
カウンセリングではストレスの原因を詳しく聞き取り、その後認知行動療法(CBT)を用いて、ストレスの捉え方や対処法を学習。
結果として、ストレスを感じる状況でも冷静に対処できるようになり、職場でのパフォーマンスも向上しました
相談事例②:子育てママのHSPの相談事例
出典:心理相談室セラペイア
あるHSPの方は、家族の感情を敏感に感じ取りすぎて、しばしば自分の感情を抑えてしまうことがありました。
カウンセリングでは、自己表現の方法や境界設定の重要性について理解。
これにより、家族とのコミュニケーションが改善され、自分の感情を適切に表現できるようになりました。
相談事例③:学生さんのHSPの相談事例
出典:学生相談・学生支援のための事例ガイドブック
あるHSPの学生は、学業のプレッシャーにより完璧主義に陥り、常に高い成績を維持しなければならないというプレッシャーで苦しむように。
カウンセリングでは、認知行動療法を用いて、プレッシャーの捉え方や対処法を習得。
結果として、学業に対するプレッシャーが軽減され、よりリラックスして勉強に取り組むことができるようになりました。
相談が苦手なHSPの方はまずアプリを試してみよう
本記事では、HSPの人が繊細さゆえに日常生活で悩んだ時には、カウンセリングを有効活用できるということについてまとめました。
もしカウンセリングに対してまだ抵抗を感じているのであれば、まずはマインドバディのようなカウンセリングを受けられるアプリに頼ってみてはいかがでしょうか。
あなただけの感じ方、HSPの強みを生かす方法、穏やかに過ごせる方法など、カウンセラーと一緒に見つけていきましょう。