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【具体例あり】CBTとは?認知行動療法の定義とセルフでできる4つの方法も紹介

認知行動療法
更新日:2024/06/14

【具体例あり】CBTとは?認知行動療法の定義とセルフでできる4つの方法も紹介

うつ病やパニック障害などに効果があると医学的にも実証されている認知行動療法(CBT)。一般的には専門家と行いますが、セルフでも実践できる方法としても知られています。

今回は、CBTの定義とセルフでできる4つのテクニックを具体例と併せてご紹介します。

認知行動療法(CBT)とは

まずは、認知行動療法(CBT)の定義や、実践するにあたって知っておきたい「認知のゆがみ」について解説します。

認知行動療法(CBT)の定義

認知行動療法とは「認知」と「行動」の側面から、ストレスなどの問題を改善するための考え方と方法です[1]。

認知行動療法の特徴は、自分ではどうしようもできないストレスによる問題を自分自身で工夫して考えること。誰かに解決してもらうのではなく、どうしたら問題を解消できるのかを深く考えます。

つまり、認知行動療法(CBT)は、ストレス状態を自分自身で改善できるように変化する「自己実現」へのアプローチともいえるでしょう。

認知のゆがみとは?

認知のゆがみとは、ある出来事が起こったときに頭に浮かぶ考えやイメージが、特徴的な方向に偏ってしまうことです。認知のゆがみは「推論の誤り」ともいわれ、J.S.Beckによって紹介されました[2]。

代表的な認知のゆがみに、「全か無か思考」や「過度の一般化」などがあります。

たとえば、「完璧にやり遂げなければ失敗と同じだ」という考え方は「全か無か思考」に偏っている思考です。

また、友人の集まりで居心地が悪かった経験から「私には友人をつくる才能がない」と過度に否定的な考え方をする場合は、「過度の一般化」に偏っているといえるでしょう。

認知行動療法(CBT)の効果とは

認知行動療法(CBT)には、感情や行動に悪影響を及ぼしている偏った認知を確認し、現実的で幅広い考え方を選択できるようになる効果があります[3]。

必要以上に落ち込んだり、不安になったりする症状を減らすことで、自己実現に向けて力を発揮できるようになることが目標です。

なぜ苦しいのかよく分からない」という状態に人は不安を感じます。しかし、「自分はこんな考え方をして悪循環にはまっているから苦しい」と現在の状態を理解できるようになると、自然と不安が減っていくのです。

認知行動療法(CBT)のメリット・デメリット

認知行動療法(CBT)のメリットの一つに、日常生活で実践しやすい点があげられます。専門家とのセッションで学んだことを、すぐに生活に活かせるのが最大のメリットといえるでしょう。

さらに、うつ病やパニック障害をもつ人の場合、認知行動療法は薬物療法と比べて再発しにくいといわれています[4]。

一方、認知行動療法のデメリットとしてあげられるのは、効果が現れるまでに時間がかかることです。他の心理療法や薬物療法と同じく即効性はないため、根気強く取り組む必要があります。

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認知行動療法(CBT)に向いている人・向かない人

では、認知行動療法に向いている人や向かない人の特徴は何でしょうか。それぞれの特徴について詳しく説明します。

認知行動療法(CBT)に向いている人

認知行動療法に向いている人には、次のような特徴があります。

・根気強く取り組める
・自分自身と向き合うことに苦痛を感じない
・新しい学びへの意欲がある

認知行動療法は自分の思考パターンを確認しながら、じっくりと治療する方法です。そのため、粘り強く自分自身と向き合いながら、新しい学びを楽しめる人に向いています。

認知行動療法(CBT)に向かない人

反対に、認知行動療法に向かない人の特徴は以下のとおりです。

・自分に厳しすぎる
・自分の気持ちを言葉にするのが苦手である
・心理的な問題が重篤化している

認知行動療法では自分の感情を言語化するワークがあるため、言語化が苦手な人は認知行動療法に向かないかもしれません。また、症状が悪化している人は、薬物療法などの治療が優先されることもあります。

【具体例】セルフでできる認知行動療法(CBT)4つの方法

では、認知行動療法(CBT)をセルフで実践するための4つの方法を、具体例とともにご紹介します。

  • 自動思考を見つける
  • 認知を再構成する
  • 行動を活性化させる
  • 問題解決スキルを身につける

方法①:自動思考を見つける

まず、認知行動療法で取り上げる具体的な出来事を思い浮かべてください。そこから「自動思考」と呼ばれる認知を見つけていきます。

自動思考とは、自動的に勝手に浮かび上がってくる思考です。言葉による考え方やとらえ方だけでなく、映像によるイメージも含まれます[1]。

<具体例>
出来事:会議中に上司から急に指名され、提案に対する意見を求められた。
自動思考:「的外れなことを言ってしまった」「みんなが自分をバカにしている」
同僚がくすくす笑っている表情や声のイメージ

方法②:認知を再構成する

認知の再構成とは、自分をつらくさせる思考を自動思考以外のパターンに置き換えることです[1]。出来事を「根拠」と「反証」に分けて考え、自動思考に替わる考えを生み出します。

このプロセスは、ポジティブな考えを身につけるための練習ではないことに注意しましょう。たとえ、多くの人が納得するようなポジティブな考えであっても、自分自身が受け入れられなければ認知行動療法の効果は期待できません[2]。

<具体例>
根拠:上司が「良い意見だ」と言わなかった。自分の方を見ている同僚が多かった。
反証:「そういう意見もある」と上司が言っていたので、間違ってはいない。自分が発言しているのだから同僚が見ていても不思議はない。

方法③:行動を活性化させる

行動活性化とは、「やらなくてはいけない」と思っていることを行動にうつすことで、ネガティブな認知を減らし心を元気にする方法です[5]。

行動活性化のやり方には、日常生活の記録や活動スケジュールの計画・実施があります。日々の活動を記録し、達成感や喜び・楽しさなどの感情を得点化して記入しましょう。最高点を10、最低点を0などで記録すると振り返りやすくなります。

<具体例>
5/6(月)
9時出勤:達成感0 喜び・楽しさ0
(出社するのが嫌だった。前のようにならないように気を付けたい)
10時会議:達成感6 喜び・楽しさ8
(勇気を出して参加したら思ったより緊張しなかった。意見を言うことができて良かった)

方法④:問題解決スキルを身につける

自動思考を見つけ認知を再構成する過程を経た後、実際に行動にうつせるように練習する必要があります。

問題を解決するためには、「どのように動けば良いか」「どのように伝えれば良いか」などの、実際の行動について考えることが大切です[1]。

<具体例>
問題:会議で上司に意見を求められることが不安で憂うつになる。
自分にかけてあげる言葉:会議は自分の意見を伝えられるようになるための練習と考えよう。
解決イメージ:会議のときに意見を求められたら、堂々と意見を述べる。
具体的な手段:同僚の意見も参考に自分の考えをあらかじめまとめておく。

まずは、大きな声で簡潔に伝えられるようにする。

実行計画:①自分の考えをメモしておく。
②同僚の意見を聞く。
③声出しや発表の練習をする。
④会議で意見を伝える。

認知行動療法(CBT)の代表的な種類3つ

認知行動療法(CBT)は、行動療法とよばれる理論が基本となっています。現在に至るまで、以下のような3つの種類に分かれながら発展してきました。

この章では、認知行動療法(CBT)の代表的な3つの種類についてご紹介します。

  • 行動療法
  • 認知療法
  • 第三世代の認知行動療法

種類①:行動療法

行動療法は、1910年代に心理学の中心的理論だった行動理論をベースとしており、認知行動療法の系譜において第一世代と呼ばれています。

行動療法の特徴は、科学的な方法を用いながら人間を理解し、変容させようとする点です。さらに、人や動物に対する実験研究によって得られた理論を、人間に応用して治療することを目標にしています[2]。

曝露法やトークンエコノミー法、ソーシャルスキルトレーニング、モデリング法などが代表的な手法です。

種類②:認知療法

認知療法は、ネガティブな体験がどのように認知処理されるのかを明らかにする手法です。症状に関連する要因の変化や修正を行うことで、症状の改善を目指します[2]。

1970年代に行動療法と認知療法を統合して使用する流れがあらわれ、認知行動療法が確立しました。

第二世代と呼ばれる認知療法の代表的な手法には、エリスが提唱した論理情動療法やベックによる認知再構成法があげられます。

種類③:第三世代の認知行動療法

1990年代からあらわれた新しい流れが第三世代の認知行動療法です。

自己認識力を高めるマインドフルネスや、「受容」という意味を含むアクセプタンスの要素を重視しています[2]。「今、ここの気づき」を大切にし、個人の感情や受け取り方に意味をもたせているのが特徴です。

マインドフルネス瞑想や、アクセプタンス・コミットメント・セラピーが代表的な手法としてあげられます。

認知行動療法(CBT)のやり方をマスターして心と向き合おう

感情や受容のしかた、気付きなどに変化をもたらすことで、ネガティブな症状の改善を目指す認知行動療法(CBT)。うつ病などの治療に効果的な心理療法として注目されています。

認知行動療法(CBT)は考え方をマスターすればセルフでも実践が可能であり、自分自身の心と向き合う最適な方法の一つです。

マインドバディでは、アプリとオンラインカウンセリングがセットになった認知行動療法のサブスクリプションを提供しています。

特徴は、アプリで気軽に取り組める学習ワークと、国家資格を持つカウンセラーによる症状にあわせた専門的なカウンセリング。

毎日を生き生きと過ごすために、マインドバディの認知行動療法をぜひお試しください。

参考文献

[1] 「認知行動療法入門Ⅰ」伊藤絵美.医学書院.(2011)
[2] 「臨床心理学」丹野義彦ほか.有斐閣(2015)
[3] 厚生労働省.e-ヘルスネット.認知療法
[4] 厚生労働省.e-ヘルスネット.認知行動療法
[5] 厚生労働省.こころの耳.15分でわかる行動変容アプローチ.やる気を出すコツ

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