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【パニック障害の克服】自分でできる認知行動療法3つのやり方と注意点

パニック障害 認知行動療法
更新日:2024/05/16

【パニック障害の克服】自分でできる認知行動療法3つのやり方と注意点

パニック障害とは、急激な不安に襲われ、発作的な症状を繰りかえすメンタルの病気です。

現在では治療法が確立している病気ではありますが、一度治ったと思っても再発してしまうことがあります。再発させずパニック障害を完治させるために、自分でできることは何かあるのでしょうか。

本記事では、パニック障害の克服に向けて、自分でできる認知行動療法のやり方や、自分でやる時の注意点についてお伝えします。

パニック障害とはどんな病気なのか

パニック障害の克服に向け、まずは誤解なく正しく病気を理解する必要があります。しっかり確認しておきましょう。

パニック障害の行動パターン

パニック障害では、まず急に起こる激しい発作的不安【パニック発作】を経験します。

すると、(また発作が起きたらどうしよう)(同じ状況になったらまた発作が起こる気がする)という強い恐怖心が生まれます。これを【予期不安】と呼びます。

その後は、パニックが起きそうな場所や状況を避ける【広場恐怖】が発生し、生活できる範囲が狭まります。こうなると、日常生活に大きな支障が出てしまいます。

①パニック発作
②予期不安
③広場恐怖

この3つがパニック障害の主な行動パターンとされています。

それぞれについてもう少し詳しく理解していきましょう。

行動パターン①:パニック発作

パニック発作は前触れがなく起こる場合が多いです。突然動悸・息苦しさ・めまいなどの症状が起こります。多くの場合、10分以内で発作のピークに達し、その後数分で落ち着きます。

ですが、ピーク時には(このまま自分は死んでしまうのでは?)と思うほどの耐えがたい強い不安や恐怖に襲われるため、本人は苦しく、周りの人も非常に心配します。

行動パターン②:予期不安

予期不安はその名の通り、またパニック発作を繰り返すのでは?という強い不安を感じる状態のことです。体というよりは心に表れる症状だと言えます。

例えば電車の中や仕事で人前に出るなど、以前パニック発作を経験した場所、もしくは似たようなシチュエーションがあると分かると、強烈な不安を感じます。

行動パターン③:広場恐怖

過度な不安感によって行動できなくなる状態が広場恐怖です。パニック発作を経験すると、特に電車のようなすぐには逃げられない、閉鎖的で誰にも助けを求めることができない状況や場所に対し、強い恐怖を覚えます。広場恐怖がひどくなると、どこかに出かけることのハードルが上がり、活動ができなくなります。

そもそも認知行動療法とは

続いては、パニック障害の治療法の1つとして確立されている認知行動療法について解説していきましょう。

認知行動療法は効果が立証されている精神疾患の治療法

認知行動療法は、薬を使わずメンタル系の疾患を治療する精神療法の一種です。

個人の認知、つまり【物事の受け取り方や考え方】に焦点を当て、自分の思考パターンや行動を変えることで心身の不調を改善していきます。

うつ病や不安障害、摂食障害、統合失調症など多くの精神疾患に効果があるとデータが出ており、パニック障害についても効果があるとされている認知行動療法。

他の精神療法と比較して論理的に理解しやすいため、病院で治療を受ける以外にも、自分でできる自己啓発やセルフケアの方法としても活用しやすいでしょう。

認知行動療法は主に下記3つの手順で行われます。

1)自動思考の見極め
自動思考、つまり【自分の認知の偏り】に注目し、現実的な出来事とギャップがないかを見極める。

2)行動活性化
日常的な行動パターンに焦点をあてて、望ましくない行動を減らし、望ましい行動を増やすように計画・実行する。望ましい行動とは、日常的に必要で優先度の高い活動や楽しめる活動。

3)認知再構成
自分が気づいた自動思考を見直し、別の考え方を探すことで気分を楽にしていく。

認知行動療法によって得られる3つの効果

認知行動療法を行うと、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。様々な効果が期待できますが、主に3つの効果にまとめて説明することができます。

1)認知の偏りを調整し、不安やストレスを軽減する効果
認知行動療法では、ネガティブな思考パターンを特定し、それを修正していきます。これにより、不安やうつ症状を軽減できます。

2)余計な連想に振り回されず物事を冷静に捉えられる効果
過度な不安や不合理な恐怖を軽減するために、現実的な視点を持つことを促してくれます。パニック障害との相性が良い点とも言えます。

3)精神疾患の予防や再発予防の効果
認知行動療法は、症状の改善・ケアだけではなく、精神疾患が再発するのを防ぐ効果もあるとされています。日常の中に取り入れやすい考え方が多いからだと考えられます。

なぜパニック障害の治療は認知行動療法が効果的なのか

パニック障害と認知行動療法の関係について解説していきます。

厚生労働省によるパニック障害の認知行動療法マニュアルの存在

「パニック障害(パニック症)の認知行動療法マニュアル」は、厚生労働省指示の元で作成された治療者向けのマニュアルです。主に医療機関で使われています。エビデンスに基づいた専門的で難しい内容ですが、ウェブで一般に公開されているため、実際にパニック障害の方が目にすることも多いでしょう。

パニック障害の認知行動療法マニュアルの内容

専門家のようにはできなくても、パニック障害の克服に向けて、何か自分でできることはないのか、マニュアルの内容が気になる方もいると思います。

気になる方は、ひとまずマニュアルのP44以降に付属している「パニック障害(パニック症)の認知行動療法(患者さんのための資料)」を参考にするとよいでしょう。
自分でパニック障害や認知行動療法についてしっかり理解できるよう、分かりやすい言葉で解説してあります。どんな解説が載っているかは、下記の目次を参照にしてください。

1.パニック障害(パニック症)とは?
パニック発作
パニック障害の診断基準
パニック障害の例
広場恐怖
予期不安
パニックの悪循環
感覚と思考の間の具体的な結びつきの例

2.認知療法・認知行動療法とは?
不安・心身相関
広場恐怖に対する曝露(ばくろ)療法
リラクゼーション法
身体感覚
過呼吸

自分で取り組む時の3つのポイント

ここから先は、認知行動療法を自分で行う場合の方法や注意点について解説していきます。

①不安に対する認知的心理教育
②パニック発作のコントロール方法と練習
③生活に取り入れるリラクゼーション方法

ポイント①:不安に対する認知的心理教育

認知的心理教育とは、パニック障害について正確な知識を学ぶことです。

心理教育を行うと、現状を改善させるだけでなく長期的な改善、症状の再発予防につながるとされています。治療者と取り組む場合は、段階的に適切な心理教育を行ってくれます。

自分でやる場合は誰も教えてくれる人はいませんので、自分で学ばなければなりません。

その場合、やみくもに学ぶのではなく、先ほどの厚生労働省が出している認知行動療法マニュアルなど、出所が明確な資料を参考を参考にしてください。

信頼度が高い資料を参考に、自分に足りていない知識を取り入れていくことが必要です。

例えばリラクゼーション方法の知識が足りてないと思えば、呼吸法など日常的なストレスへの対処法として実践を続け、習慣化を目指します。

ポイント②:パニック発作のコントロール方法と練習

パニック発作が実際に起こった時に、どのようにコントロールしたらいいのか対処法を身に付けるためには、対処法を平常時に何度も練習する必要があります。具体的にどんな練習法があるのか、下記に参考例を3つ挙げました。

練習1:身体症状を把握する:

パニック発作の間、実際の危険はないにもかかわらず、恐ろしく危険な状況に遭遇しているかのように体は反応します。

胸の痛み、めまい、死に対する恐怖、理性を失う恐怖、窒息するような感覚、吐き気、しびれや痛み、心拍数の増加、発汗、寒気、震えなどがあります。

自分の感覚がどの表現に近いのか、体の状態をうまく言語化できるよう練習します。

練習2:呼吸を整える

一般的にパニック発作中の呼吸は「浅く早く」なります。この呼吸は発作を更に悪化させ、症状を長引かせます。

呼吸を整えるため、できるだけ「ゆっくりと深い」呼吸を意識的に取り入れます。例えば、3秒吸って7秒吐くなど、カウントをしながら規則的に呼吸を行うとより効果的です。

呼吸法も、日頃から練習しておくことで、いざパニック発作が出た時に使えるようになります。

練習3:意識を五感に集中させる

意識を視覚や嗅覚、聴覚などの五感に向けることで、激しい不安や焦りから意識がそれ、楽になる効果が期待できます。

具体的には、耳に聞こえる音や、肌に触れているものを言葉にして声に出す練習方法がお勧めです。毎朝起きた時、ご飯を食べる前に、など、タイミングを決めて練習すると良いでしょう。

ポイント③:生活に取り入れるリラクゼーション方法

パニック障害の方は、知らず知らずのうちに緊張が高まっている場合があるため、日頃から上手に心身をリラックスさせられるリラクゼーション法を持っておくことが大切です。

どんなリラクゼーション法がおすすめかというと、呼吸法、ストレッチ、なんでも構いません。これなら心がほっとするな、体の力が抜けるな、と思える方法を1つでも多く持っておくようにしましょう。

自分で取り組む時の注意点

自分で認知行動療法を取り組む時に注意して欲しいことは大きく2つあります。

1つ目の注意点は、「主治医の許可を取ること」です。

現在通院中なのであれば、主治医にしっかり相談をして、自分がどんな方法を取り入れようとしているのか、相談してから始めましょう。

もしまだ医者にはかかっていない場合も、できれば一度病院で診てもらい、まず本当にパニック障害なのか、自分で取り組む認知行動療法でも効果が期待できるレベルの症状なのかどうか、判断してもらった方がよいでしょう。

2つ目の注意点は、信頼できる資料やツールを使用して取り組むことです。

出典が不明瞭なウェブサイトや、無資格の人が個人の経験としておすすめしている方法など、信頼性や妥当性に不安のある情報も中にはあります。

もし自分で認知行動療法をやりたいと思った場合は、必ず主治医に相談しながら、信頼性のある情報に沿って取り組んでいきましょう。

自分で認知行動療法を行う方法を紹介

自分で認知行動療法を行う方法を紹介します。

①アプリを使う
②ワークブックを使う
③ノートを使う

方法①:アプリを使う

現在では、認知行動療法を手軽に自分でできるアプリがたくさん開発されています。色々と試してみて、自分にとって使いやすいアプリで認知行動療法を実践してみてください。

1つ例として、おすすめのアプリを紹介しておきます。

マインドバディ|認知行動療法のサブスク (mindbuddy.co.jp)

方法②:ワークブックを使う

認知行動療法の様々なワークが紹介されている書籍もたくさんあります。自分のペースでじっくり取り組めるのでおすすめです。書くことに苦がない方は、このようなワークブックを利用しても良いでしょう。

1つ例として、おすすめの書籍を紹介しておきます。

「自分でできる認知行動療法 うつ・パニック症・強迫症のやさしい治し方 ココロの健康シリーズ」浅岡 雅子 (著), 清水 栄司 (監修)

方法③:ノートを使う

認知行動療法の手順さえわかれば、あとは自分で自由に書いてみる、という方法にチャレンジする方もいます。

手順や書き方などをレクチャーしているサイトや資料、書籍を参考にすれば、コストもかからず自分のペースで行えます。

この方法は、自分の思考や気持ちを「書く」ことが得意な人には向いているでしょう。書く行為は気持ちが落ち着く、考えが整理できる、という人は、ぜひチャレンジしてみてください。

ただし、フォーマットが決まっているわけではないので、難易度は少し高いです。自分一人では難しいかもしれません。

パニック障害の再発予防にも効果的な認知行動療法

認知行動療法は根気よく続けていくことで再発予防が期待できます。ただし、エネルギーを使うので自分一人では限界を感じる時もあるかもしれません。

そんな時はカウンセラーに相談すると良いでしょう。疑問が出た時、質問したい時に気軽に聞ける専門家がいることは心強いです。

アプリでおすすめしたマインドバディのように、カウンセラーに相談できる仕組みがついているサービスを利用するのが安心だと言えそうです。

パニック障害の再発に悩んでいる方、認知行動療法を自分でやってみたいけど難しそうで悩んでいる方は、まず無料体験を使って、自分にあっているかどうか試してみてはいかがでしょうか。

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