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【逆効果かも】認知行動療法に向かない人の3つの特徴やおすすめの対処法も解説

認知行動療法
更新日:2024/05/24

【逆効果かも】認知行動療法に向かない人の3つの特徴やおすすめの対処法も解説

うつ病やパニック障害などの心の病に対する治療効果が確認されている認知行動療法。医学的研究でも効果が実証された心理療法として注目されています。

しかし、認知行動療法に向かない特徴を持つ人にとっては、逆効果になってしまうことも。症状がさらに重くなったり、改善しにくくなったりするケースもあります。 今回は、認知行動療法に向かない人の特徴と対処法について解説します。

認知行動療法とは?

まずは、認知行動療法の特徴やメリット・デメリットなど、基本的な知識についてご紹介します。

認知行動療法の特徴

認知行動療法とは、ストレスの問題を「認知」と「行動」の側面から自己改善するための考え方と方法をさします[1]。

物事の見え方や考え方をさす「認知」は、ストレスによって偏ってしまうことがあります。その結果、瞬間的に頭に浮かぶ「自動思考」がネガティブな内容になるのです。

認知行動療法では、自動思考に働きかけることで行動に変化を促し、ストレスを緩和させます[2]。

認知行動療法のメリット

認知行動療法の大きなメリットは、日常生活で実践しやすいことです。専門家とのカウンセリングで学んだスキルを、日々の生活の中で活かせます。

また、うつ病やパニック障害の患者さんが認知行動療法で症状が改善した場合、薬物療法に比べて再発が少ないというデータも[3]。

自分の思考パターンと向き合いながらじっくりと治療するため、「自分の力で乗り越えられた」というプラスの思考が生まれやすいのもメリットの一つです。

認知行動療法のデメリット

一方で、認知行動療法にはデメリットも存在します。

認知行動療法のデメリットの一つは、効果が現れるまでに時間がかかることです。いわゆる「即効性」はないため、根気強く治療に取り組む姿勢が求められます[1]。

また、思考や行動パターンを変えていくには専門家の助言が必要なので、治療費がかさむ可能性もデメリットの一つです。

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認知行動療法に向かない人の特徴3つ

では、認知行動療法に向かない人の特徴は何でしょうか。この章では、3つの特徴について説明します。

・症状が重い人
・治療への意欲が低い人
・自分と向き合うのが難しい人

特徴①症状が重い人

うつ病や不安障害の症状が重い場合、認知行動療法をすることで状態が悪化するケースがあります。腕や足の骨折から回復途中の人が、急に無理な運動をして身体に負担をかけてしまうのと同じです。

とくに、うつ病の場合は認知行動療法を行うことで「うつ状態」から「躁状態」に転じてしまう可能性も。躁状態とは、エネルギーが湧き上がってきて色々なことがしたくなる状態です。

たとえば、「次から次へと色々な考えが浮かんでくる」「睡眠時間が短くても平気になる」などの症状がみられます。

まずは治療を優先し、ある程度回復してから再発予防のために認知行動療法を始めるのも一つの方法です[1]。

特徴②治療への意欲が低い人

治療への意欲が低い場合、認知行動療法を継続するのが難しいかもしれません。なぜなら、 認知行動療法では主体的に考えや行動を変えていく努力が求められるからです。

認知行動療法では専門家に頼りきるのではなく、自分で問題に向き合う姿勢が大切です。「誰かになんとかしてほしい」「自分でやるのは嫌だ」という考えが強い人には、認知行動療法に向かない可能性があります。

また、早い効果を求める人は認知行動療法に向かないことも。実際の治療場面では、焦って即効性を求める人より、じっくりと取り組む人の方がスムーズに進むといわれています[1]。

特徴③自分と向き合うのが難しい人

認知行動療法は、自分の思考や感情と向き合うことが難しい人には向かないかもしれません。

治療の過程では、自分を取り巻くストレス状況を細かく観察し言語化します。その中には、過去のトラウマや忘れられない辛い経験が含まれるでしょう。

とくに、自分のストレス体験から目を背けてきた人にとっては、治療が苦痛になる可能性があります。「痛み」と向き合うのがリスクになってしまう人は、状態が落ち着いてから始めるのが安全です[1]。

認知行動療法に向かない人のための4つの対処法

では、認知行動療法に向かない人はどうすれば良いのでしょうか。ここでは、認知行動療法以外の対処法を4つ紹介します。

・マインドフルネス瞑想
・対人関係療法
・休養とストレス管理
・薬物療法

対処法①マインドフルネス瞑想

マインドフルネス瞑想は、今この瞬間に注意や意識を向け続ける手法です。余計な憶測をせずに、今起きている出来事や感じていることに集中する状態を目指します[4]。

マインドフルネス瞑想は不安や抑うつに有用であり、認知行動療法と同程度の効果をもたらすといわれています。専門家のアドバイスやアプリなどを活用し、日常生活に取り入れてみると良いでしょう[5]。

対処法②対人関係療法

対人関係療法は、うつ病や不安障害の改善に効果があると科学的に実証されている心理療法です。過去や未来の問題を扱わず、現在起こっている対人関係のみに焦点をあてます。

その人自身の「生きづらさ」を軽減するために、対人コミュニケーションの方法や環境調整、医療との連携などを専門家とともに考えていく方法です。

認知行動療法に比べて毎回のセッションにおける課題が少ないため、途中でドロップアウトしてしまうケースが少ないといわれています[6]。

対処法③休養とストレス管理

心の不調から回復するために大切なのは、十分な休養とストレス管理です。「自分にとって必要な治療を始めよう」と思えるようになるには、しっかりと休養できる環境が整っていなければなりません。

ストレスのもとになっている出来事から離れたり、仕事や家事をお休みしたりするのも良いでしょう。まずは落ち着いた生活環境を整え、十分に休養をとることが重要です[7]。

対処法④薬物療法

症状が重い場合は、早めに医療機関を受診しましょう。風邪などの病気と同じく、心の不調も早めの受診をすることで早期治療が可能です。

心の不調に関する薬に対しては、副作用や依存症について心配する人もいるかもしれません。

ささいなことでも、不安や悩みがあれば医師に相談してください。きちんと納得した上で、適切な治療方針を決めていくことが大切です[7]。

認知行動療法を自分で実践するための3つのヒント

認知行動療法は専門家とのセッションだけでなく、日常生活の中でも実践できます。認知行動療法を自分で実践するためのヒントを3つ紹介します。

・認知のゆがみを見直す
・行動を活性化する
・リラクセーション方法を習得する

ヒント①認知のゆがみを見直す

認知行動療法を自分で実践するための方法の一つが、認知のゆがみに気付くことです。

「認知」とは頭の中に浮かぶ考えやイメージのこと。なかでも、ある出来事に対して瞬間的に頭に浮かぶ考えを「自動思考」といいます。

認知のゆがみとは、自動思考が極端に偏っていたりネガティブな方向に考えてしまったりする傾向のことです。自分をつらくさせる自動思考を、つらくない考えに置き換えることで、新たな考えを取り入れる練習をします。

ヒント②行動を活性化する

行動活性化とは、行動することで気分を変える大切さを実感し、希望する生き方に近づくような活動につなげることです[8]。

行動を起こすことで気分が改善し、ネガティブな思考のループから抜け出しやすくなります。興味のある活動を取り入れたり、達成感を感じられる小さな目標を設定したりするのもおすすめです。

ヒント③リラクセーション方法を習得する

ストレスや不安が高まっているときは、リラクセーションが役立ちます。呼吸法や自律訓練法などさまざまな方法があります。

リラクセーション法は不安を軽減するなどの有効性が研究で立証されており、認知行動療法のセッションでも活用されている方法です。

リラクセーション法を続けることで心身のバランスが整い、ストレス反応が起きにくい身体に変化していくといわれています。自分の感情や考えと向き合い、さまざまな新しい考えを取り入れやすくなるでしょう[9]。

認知行動療法に向かない人は自分にあった方法を試そう

認知行動療法は医学的にも効果が立証されている治療法ですが、すべての人に適しているわけではありません。

もし認知行動療法は自分に向かないと感じたら、他の対処法を専門家とともに試してみましょう。大切なのは自分にあった治療法を見つけることです。

認知行動療法に向かない人の特徴をヒントに、自分に最適な治療法を探してみてくださいね。

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参考文献

[1]   「認知行動療法入門Ⅰ」伊藤絵美.医学書院(2011
[2]    厚生労働省「うつ病の認知療法・認知行動療法」(患者さんのための資料)P5
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット 認知行動療法
[4] 厚生労働省 こころの耳 専門家からのアドバイス(こころのケア)
[5] 厚生労働省eJIM 瞑想とマインドフルネスについて知っておくべき8つのこと
[6] 安達圭一郎「ひきこもりと生きにくさ:対人関係療法による関わりから」p8-11.日本
  セーフティプロモーション学会誌.Vol.12(1).2019
[7] 厚生労働省 うつ対策マニュアルー保健医療従事者のためにーコラム・活動事例・資
  料編 資料4 本人支援のための具体的アプローチ
[8] 「臨床心理学」丹野義彦.有斐閣.p432.(2015)
[9] 厚生労働省 心のケア各論 リラクセーション法

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