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認知行動療法って?効果やかかる期間について公認心理師が解説!

認知行動療法
更新日:2024/05/11

認知行動療法って?効果やかかる期間について公認心理師が解説!

「認知行動療法」とは、認知や行動に働きかけることで気持ちを楽にする心理療法です。つらい気持ちやストレスの軽減に効果があり、うつ病をはじめとした心の病気にも効果があることが明らかになってきました。

この記事では、認知行動療法の効果、そして受ける場合の期間や料金などを解説していきます。

臨床心理士/公認心理師の甘中亜耶

臨床心理士/公認心理師

甘中亜耶

京都文教大学大学院 臨床心理学研究科修了。大学院修了後、発達相談を経験した後、2022年から児童精神科クリニックと保健所に勤務。精神疾患やメンタルヘルスに関して「正しい情報を分かりやすく伝える」をモットーにフリーランスのライターとしても活動している。

認知行動療法(CBT)とは

認知行動療法とは、日常生活で起こる困りごとを整理し、認知や行動に働きかけることで気持ちを楽にする心理療法です。

私たちは、嫌な気持ちになった時、起こった出来事が気持ちの原因だと考えがちです。しかし、認知行動療法では、起こった出来事を「どのように受け取るか(認知)」そして「どのように行動するか」が、気持ちやストレスを決めていると考えます。

そのため、「認知」と「行動」に働きかけることで、気持ちや身体を楽にできると考えるのです。

元々「認知療法」と「行動療法」は別々に発展していましたが、近年では合わせて「認知行動療法」と呼ばれることが増えています。

また、英語ではCognitive Behavior Therapyと言い、省略してCBTと呼ばれています。

参考:日本認知療法・認知行動療法学会国立研究開発法人 国立精神・神経医療センター認知行動療法センター

認知行動療法で注目する4つの側面

認知行動療法では、具体的な出来事を取り上げて、その出来事が起きた時の①認知、②感情、③行動、④身体を整理していきます。

次から具体的な例を見てみましょう。

〈例〉【出来事】上司に挨拶をしたが反応がなかった。

【①認知】「自分が嫌われているからだ」という考えが頭に浮かぶ。

【②気分】悲しみ、焦り、不安で胸がいっぱいになる。

【③行動】上司に関わることを避けて声をかけにくくなる。

【④身体】動悸や落ち着かない感覚がして寝付けない。

4つの側面は、それぞれ相互的に影響していると考えられており、悪循環を起こしていることも少なくありません。そこで、その悪循環を生む思考のクセや行動パターンを変容させていきます。

認知行動療法の4つの種類

認知行動療法にはいくつかの技法があります。

代表的な技法を見てみましょう。

・コラム法(認知再構成法)

コラム法は、出来事が起こった際とっさに思い浮かぶ思考に着目し、自分の思考のパターンとは別の考え方を見つけることで思考の幅を広げていく方法です。

方法としては、ワークシートに出来事、その時の感情、適応的な思考などを書き出すことで、自分の認知、行動の癖に気付き修正していきます。

・SST(ソーシャルスキルトレーニング)

SSTは、人が社会で生きていくうえで必要な技術を習得するための訓練のことです。

実際に困った場面をもとに、ディスカッションやロールプレイを行ってみることで、同じ場面にあったときに適切に振る舞えるようにします。

・アンガーマネジメント法

アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手に付き合うためのトレーニング、心理教育です。怒りを感じるポイントや怒りの表れ方を整理して、自分に合った対処方法を学んでいきます。

・リラクゼーション法

リラクゼーション法は、呼吸や筋肉の状態といった身体の緊張をほぐすことで、気持ちも落ち着かせる技法です。身近な例えでは、焦っている時に深呼吸をすると気持ちが少し落ち着く感覚が挙げられ、この落ち着ける感覚をより意識的に身に付けていきます。

リラクゼーション法の中にも、漸進的筋弛緩法、自律訓練法など様々な技法があり、自分に合った技法を身に付けることが大切です。

認知行動療法の効果が期待される病気の具体例

これまで様々な研究を通して、認知行動療法の効果が認められてきました。効果が認められている代表的な病気は以下の通りです。

・うつ病・不安症

・強迫性障害

・発達障害

・摂食障害

「心理療法」と聞くと心の病気のための技法と思われるかもしれませんが、昨今は慢性的な痛み、過敏性腸症候群、がんなど、身体に病気がある方にも効果が認められています。

他にも、病気とまではいかないけれど、つらい気持ちが続いたり、ストレスを抱えてしんどい人にも効果が見込めます。悩みの例は、以下の通りです。 

・些細なことで人から嫌われていると考えてしまう

・何事も完璧にこなさないと気が済まず疲れてしまう

・子どもに対してカッとなりやすい

・やるべきことでも先延ばし癖がある

認知行動療法が向かない人

様々な効果が期待できる認知行動療法ですが、以下に当てはまる人は向いているとは言えません。

・ホームワークや私生活での実践など、プライベートで取り入れる余裕がない

認知行動療法は、ホームワークを家で行ったり、学んだことを生活の中で実践したりを繰り返すことで効果が表れます。そのため、プライベートに新しい習慣を取り入れる時間や体力が全くない場合には落ち着いてから取り組んだ方が良いでしょう。

・自分の嫌な部分に向き合うことができない

カウンセリングでは、自分の苦手なこと、嫌な部分と向き合うため、一時的にネガティブな気持ちになることがあります。「改善したい気持ち」より「嫌な気分になりたくない気持ち」の方が強いのであれば認知行動療法は向かないでしょう。

・カウンセラー任せで改善すると思っている

認知行動療法をはじめとした心理療法は、クライアントとカウンセラーが共に取り組んでいく作業です。そのため、カウンセラーの言う通りにするだけで改善すると考えている場合には、実際のカウンセリングでギャップが生まれる可能性があります。

・精神症状が強く見られている

精神疾患の症状が強く見られる時には、心理療法よりも薬物療法と休息が優先されます。こころと身体を守るために主治医の指示に従いましょう。

効果のある認知行動療法を受けるには

では、効果のある認知行動療法を受けるには具体的にどうしたらいいのか解説していきます。

認知行動療法はどこで受けられる?

認知行動療法は、主に病院(精神科、診療内科)もしくは、私設のカウンセリング機関で受けることができます。

しかし、その全てで認知行動療法を受けられる訳ではありません。認知行動療法を受けたい場合には、HPや電話などで事前に受けることができるか確認しておくと良いでしょう。

オンラインサービスのマインドバディであれば、国家資格を持った経験豊富なカウンセラーから認知行動療法を受けれますよ。

認知行動療法の期間はどれくらい?

総回数は、5~20回以内に設定されていることが多いですが、相談内容や状態、通える頻度によって変わってきます。また、1回あたり30~60分、頻度は1~2週間が多いです。

認知行動療法の料金はどれくらい?保険適応される?

費用相場は、5,000~15,000円と言われています。

医療機関で、医師等が認知行動療法を行う場合には健康保険が適応されます。しかし、実際は心理職が担当することが多く、ほとんど適応されることがないというのが現実です。

7コラム法を使ったセルフで認知行動療法を行う方法

認知行動療法をセルフで行う方法として、「7コラム法」を説明します。

7コラム法では、下の図の①~⑦までの項目を順番にノートや紙に書き出していきます。はじめは時間がかかるかもしれませんが、繰り返し取り組むうちに自然と思考の幅が広がったり、考え方の癖に気が付くことができます。

項目記入例
①状況
気持ちが動いたときの一場面
上司に挨拶をしたがイライラした様子で反応がなかった。
②気分
そのときの気持ちと強さ(%)
不安 80%、悲しみ 70%、イライラ 30%
③自動思考
とっさに頭に浮かんだ考え
私は上司から嫌われている
私は何をやってもダメ
他の人からも嫌われているかも
④根拠
考えを裏付ける具体的な事実
(だって)挨拶が帰ってこなかった
(だって)目も合わせてくれなかった
⑤反証

考えとは反対の事実

繁忙期で上司は特に仕事が忙しい
昨日の帰り際は普通だった
⑥適応的思考
バランスのよい考えと今後のプラン
イライラした様子で反応がなかったが、仕事が忙しくて声が聞こえていなかったのかもしれない
→反応がないかもしれないが挨拶は続けていく
⑦いまの気分
今の気持ち
不安 60%、悲しみ 30%、イライラ 0%

また、最近では認知行動療法ができるスマートフォンアプリがリリースされています。より簡易的に試してみたいという方は検索してみてくださいね。

正しく理解して効果的に認知行動療法を行おう

認知行動療法とは、認知や行動に働きかけることで気持ちを楽にする心理療法です。ストレスを抱えていたり、心の病気で悩んでいる人に効果がありますが、人によって向き不向きがあります。

効果的に行うために、正しく理解してから取り組むことが大切です。一般的なカウンセリングであれば、実践の前に、まずはしっかりとした説明がありますのでそこで確認しましょう。

また、先にも述べたように認知行動療法はクライアントとカウンセラーの共同作業のため、しっかりとしたカウンセラーに出会うことも重要です。オンラインサービスのマインドバディであれば、国家資格を持った経験豊富なカウンセラーから認知行動療法を受けることができるので検討してみてはいかがでしょうか。

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