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7つのコラム法とは?認知行動療法でできるストレス緩和とこころの整え方

コラム法 認知行動療法
更新日:2024/05/11

7つのコラム法とは?認知行動療法でできるストレス緩和とこころの整え方

コラム法は、私たちのこころや身体のバランスを整えることに役立つ認知行動療法の技法です。
日々、私たちの気分や行動は、物事の受け取り方の影響を大きく受けています。

ネガティブな気分になると、ストレスを感じやすくなり、ますます物事に身が入らなくなったことはありませんか?

その結果、就職先を退職や休職している人もいるかもしれません。そんなときに役立つのが認知行動療法・コラム法です。

認知行動療法・コラム法を取り入れて、バランスの取れた適応思考を手に入れましょう。

臨床心理士/公認心理師の甘中亜耶

臨床心理士/公認心理師

いけや さき

心理職として精神科病院や心療内科クリニック、児童発達支援事業所での勤務を経て、現在はフリーのカウンセラー、児童精神科の心理士として活動中。またマインドバディ株式会社をはじめとする複数の会社とライター契約し、心理学やメンタルヘルス、ライフスタイルに関するライター活動も行っている。

コラム法とは認知行動療法(CBT)の1つ

認知行動療法(CBT:Cognitive Behavior Therapy)は、うつ病や不安障害、強迫性障害などの改善・再発防止に有効な心理療法。

コラム法(認知再構成法)は、認知行動療法の種類の1つです。

認知行動療法(CBT)とは?

認知行動療法は、アメリカのベック博士がうつ病に対する技法として開発したことがはじまりでした。

認知行動療法は治療的効果が実証的に認められており、エビデンスベースの技法として医療や産業、教育などの領域で活用されています。

物事の受け取り方や考え方を「認知」といいますが、その認知に働きかけ、適応していくのが認知行動療法。

認知行動療法では、ストレスを感じた出来事・状況をテーマに以下の4つの側面に注目します。

・認知(瞬間的に思う考え)
・感情(そのときの気分)
・身体(起きる身体の反応)
・行動(実際におこなったこと)

効果的な治療のために、4つの側面を丁寧に観察・分析し、つながりを整理することで原因や対処法を見つけるのが認知行動療法です。

認知行動療法の種類

複数の種類がある認知行動療法の代表的な4つの方法を解説します。

すべて4つの側面の考え方を基礎に、バランスのよい考え方を目指すための方法です。

以下4つの方法を解説します。

1.リラクセーション法
2.暴露療法(エクスポージャー法)
3.マインドフルネス認知療法
4.コラム法(認知再構成法)

種類①リラクセーション法

身体に起きている過剰な緊張状態を、緩和させるために緩める方法。

この緊張状態とは、身体がかたまっている、力が入っている状態とイメージするとわかりやすいです。

治療やカウンセリング場面で行なう際は、凝りかたまった過剰な緊張状態を自分でも緩和し、予防できるよう実践していきます。

リラクセーション法には以下の3種類があります。

・呼吸法
・漸進的筋弛緩法
・自律訓練法

自分にあう方法で取り組んでみましょう。

ただし、自律訓練法は治療者・専門家の指導のもと受けることが推奨されています。

種類②暴露療法(エクスポージャー法)

不安の原因となる出来事や刺激に徐々に触れることで、不安を減らす技法です。主に強迫性障害やPTSDの方に用いられます。

曝露療法は不安と向き合う方法のため、曝露療法の専門性が高い支援者と一緒に実践してください。

種類③マインドフルネス認知療法

医療に取り入れる治療プログラムとして誕生した「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」と認知行動療法を統合した技法。

主にうつ病を繰り返している方の再発予防に効果的な集団精神療法です。

うつ病だけでなく、ウェルビーイング向上にも効果が認められているため、ますます注目が集まっています。

近年、本やアプリが増えているマインドフルネス瞑想との違いは、変容と解放です。

マインドフルネス瞑想は「今、ここ」に注目し認知の囚われを解放する方法ですが、マインドフルネス認知療法はマインドフルネス瞑想を応用しつつ、認知の変容(歪みの修正)を目指します。

種類④コラム法(認知再構成法)

認知行動療法といえば、コラム法(認知再構成法)といわれるほどメジャーな技法。

厚生労働省のワークシートは「自動思考記録表」ですが、認知再構成法も自動思考記録表もコラム法です。

コラム法(認知再構成法)はストレスを感じた出来事に対する「自動思考」に注目し、パターンを記録・分析することで、新しいバランスの取れた思考(適応思考)を手に入れる技法。

自分の気持ちが揺れ動くときの思考や気持ちを言語化し、考え方の幅を広げることに役立ちます。

ワークシートや本、アプリもあるので、認知行動療法のなかでは最も取り入れやすい技法です。

認知行動療法の効果

認知行動療法は世界基準で治療効果が認められている心理療法です。

以下のような効果があげられます。

・自己理解が深まる
・ネガティブ思考やストレスが軽減される
・考え方が柔軟になり、バランスが取れるようになる
・うつ病など精神疾患の改善につながる
・再発予防となる

薬物療法と同等、もしくはそれ以上の効果が期待されています。
より効果を実感するなら、薬物療法との併用も検討しましょう。

7つのコラム法(認知行動療法)のやり方・方法

コラム法のやり方を解説します。

このワークシートに沿って、セルフでノートに書いてみてください。

①状況:ストレスになった出来事
②気分:そのときの気持ち
③自動思考:その瞬間に考えたこと
④根拠:自動思考を裏付ける事実
⑤反証:自動思考と反対の事実
⑥適応的思考:バランスのいい考え方
⑦気分の変化:適応思考を取り入れたあとの気分

①状況:ストレスになった出来事

嫌な気持ちになった出来事の「状況や事実のみ」を具体的に記録します。

例:希望していた会社に就職したけど、仕事が終わらなくて残業が多い

②気分:そのときの気持ち

出来事が起きた際の気持ちや感情を書きます。

その際、100を一番強度が強いと仮定して点数化してください。

例:憂うつ(80)後悔(70)不安(40)

③自動思考:その瞬間に考えたこと

出来事が起きた瞬間に考えたこと・感じたことをありのまま記録してみます。

例:どうしてこんなに仕事ができないんだろう、全然終わらない
周りの人はもっとがんばっているのに、私は社会人失格だ
就職先の選び方が間違っていたのかもしれない

④根拠:自動思考を裏付ける事実

自動思考となった根拠を「事実」をメインに記録します。

例:急に業務を振られることがある
質問したくても緊張する
周りの人も残業している人ばかり

⑤反証:自動思考と反対の事実

自動思考と矛盾する事実を探し出します。

例:急に頼まれることは誰でも戸惑う
先輩たちは余裕があれば声かけてくれたり、聞けば丁寧に答えてくれる
「仕事終わらないよね」と先輩たちも言っていた

⑥適応的思考:バランスのいい考え方

根拠と反証を活用した「バランスのいい考え方(適応思考)」を書き込みます。

はじめのうちは、根拠と反証を「だが」「けど」などでつなぎ合わせるだけでも十分です。徐々にバランスの取れた新しい考え方を探していきます。

例:急に業務を振られることがあって仕事は終わらないけど、いきなり頼まれたら誰でも戸惑う
やれることはやっているから、周りに頼りながらがんばっていこう

⑦気分の変化:適応思考を取り入れたあとの気分

最後はワークシートに取り組んで、どのようなこころの変化があったのかを点数化します。

点数化する際は「②気分:そのときの気持ち」で点数化した感情にすることで、変化がわかりやすいですよ。

例:憂うつ(70)後悔(50)不安(30)

3つと5つのコラム法もある

コラム法は7つだけではありません。

「③自動思考:その瞬間に考えたこと」まで取り組む3つのコラム法と、「⑤反証:自動思考と反対の事実」まで取り組む5つのコラム法もあります。

こころのクセの修正は、ある程度の時間がかかるものです。

無理せず3つや5つなど、はじめやすいところから実践してみましょう。

コラム法(認知行動療法)をセルフで行なう方法とは

コラム法はセルフでも実践可能です。

セルフで行なうなら、本・アプリ・ワークシートのいずれかを活用してください。

精神科医(大野裕先生、清水栄司先生など)や臨床心理士(伊藤絵美先生など)が執筆・監修している本やワークシート、アプリであれば、エビデンスに基づきつつ、例やコツもわかりやすく解説しています。

セルフではなく、専門家・治療者に見てもらうのがおすすめ

コラム法はセルフでも可能ですが、ネガティブ思考がクセになっている人には向き合うことはつらく、「反証」を考えることも困難となる場合があります。

不安が増して時間がかかり、仕事やプライベートに影響をきたしては意味がありません。

1人で無理せず、セルフで取り組んで専門家に見てもらいましょう。

この方法をセルフヘルプ方式といい、セルフで行なうよりも専門的な助言をもらいながら自助力をつけられます。

また、認知行動療法の発展型の方法に「スキーマ療法」というものもあるのをご存知でしょうか。

スキーマ療法は、幼いころの経験から固定化された信念(スキーマ)を解放し、人々の生きづらさを手放す方法です。

専門家と共に取り組むことで、自分に合う方法を実践しやすい環境が整えられます。

注意!コラム法(認知行動療法)に向かない人もいる

コラム法はさまざまな人に効果的な心理療法ですが、向かない人もいます。

以下に、コラム法に向かない人の特徴をまとめました。

・治療に後ろ向きな人
・向き合うのが苦しい人
・環境調整が整っていない人
・受け身状態の人
・症状が強い人

短期的にできる方法ですが、個人差があります。短時間ですぐに解決したい人も、まずは専門家と取り組むことがおすすめです。

認知行動療法・コラム法でこころとうまく付き合おう

認知行動療法のなかでもコラム法は、取り組むための材料(本やワークシート、アプリ)が誰でも手に入りやすい技法です。

エビデンスもあり、ストレス軽減のための効果が認められています。

7つのコラム法は、自分のこころのクセを理解し、バランスの取れた考え方を実践的に学べる方法です。

マインドバディでは、国家資格を持つ心理カウンセラーと継続的に認知行動療法に取り組めます。

コラム法だけでなく、1人ひとりの症状に合わせた認知行動療法がオンラインカウンセリングとアプリの両方で受けられますので、ぜひご活用ください。

認知行動療法を活用して、自分の思考とうまく付き合っていきましょう。

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