認知行動療法とは?
認知行動療法の概要
認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy: CBT)とは、「認知(考え方)」と「行動」にアプローチすることで、心の問題解決を目指す心理療法です。
もともとはアメリカの精神科医アーロン・T・ベックが、うつ病に対する精神療法として開発したものですが、うつ病以外にも、不安症や強迫症などさまざまなメンタルヘルスの問題に対して治療効果と再発予防効果があると言われています。エビデンスに基づいた治療法として広く知られています。
認知行動療法の効果
ペンシルベニア大学の研究によると、認知行動療法の回復率は薬物療法と同程度であり、再発率は薬物療法よりも低いことが立証されています。

認知行動療法で注目する 4 つの側面
認知行動療法では、ストレスや不安を感じた具体的な出来事を取り上げて、その出来事が起きた時の「頭の中に浮かんだ考え(認知)」「感じる気持ち(感情)」「体の反応(身体)」「振る舞い(行動)」という4つの側面に注目します。

私たちの気持ちや行動は、その出来事が起きた時の「認知」に影響を受けます。認知とは出来事に対する「考え方」「受け取り方」という意味です。同じ出来事・同じ自分だとしてもその時々によって感情・体の反応・行動が違うことがよくあります。
具体的な例を見ていきましょう。

- 1.認知
- その状況に対して最初に頭に浮かんできた思考やつぶやき
- 「上司は私のことを嫌っているのかもしれない」「私は何か間違ったことをしたのかもしれない」
- 2.感情
- その認知に対してどのような感情が生じたのか
- 悲しみ、焦り、不安で胸がいっぱいになる。自己嫌悪に陥ってしまう
- 3.行動
- その感情に基づいて、どのような行動を取ったか
- 「上司と関わることを避ける」「仕事に集中できなくなる」「他の同僚への挨拶も怖くなる」
- 4.身体
- その感情や行動に対して身体がどのように反応をしたか
- 動悸や落ち着かない感覚があり、寝付けない、緊張感が常にある
ますます焦燥感が募り、マイナスな感情が増え、常にストレスフルな状況になってしまう
4 つの側面は、それぞれ相互的に影響していると考えられており、具体例のように悪循環を起こしていることも少なくありません。整理・分析を通じて、自分のストレス反応のパターンに気づき、さらなる悪循環に陥らないように調整していくことを目指します。
認知と行動にアプローチ
一般的には、「感情」や「身体」は自分の意志でコントロールすることは難しく、「認知」と「行動」 は自分の意志でコントロールしやすいものと言われています。
例えば、「悲しむのをやめてください(感情)」や「腹痛をとめてください(身体)」と言われても難しいですが、「他の考え方はないかな?(認知)」と視点を変えたり、「とりあえず小さな行動をしてみよう(行動)」と試したりすることは可能です。
そこで認知行動療法では、この「認知」や「行動」の幅を広げたり、変えていったりすることで、気分や身体を楽にして、ストレスとうまく付き合っていけるようになることを目指していきます。
具体的な進め方
1アセスメント
- お悩み
- 漠然とした不安感、人間関係の問題、職場でのストレス・復職への不安、再発予防など
- 症状
- うつ病、適応障害、パニック症、社交不安症、強迫症、全般性不安症
2スキルの習得
スキルの例

- コラム法
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- コラム法は出来事に対する認知(考え方や捉え方)を把握して、偏りがあれば修正を行い、別の捉え方ができないかを考えていきます。この考えを変えたり、幅を持たせたりすることで気持ちを楽にするスキルです
- 極端にネガティブな感情や思考に悩んでいたり、ストレスにうまく対処できない時であったり、自分自身を苦しめる考え方をしがちなときに有効です

- 問題解決技法
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- 問題解決技法は、ストレスに感じている問題を整理し、解決に導いていくスキルです。自分では解決できないのではと感じている問題に対しても、カウンセラーと客観的にストレス自体を整理したり、優先順位をつけたりすることで解決につながることがあります
- 悩み事が次々と浮かんできてしまい、何にどう対処したら良いかわからない、目の前の問題が大きなものに感じて気持ちばかり焦ってしまうようなときに有効です

- エクスポージャー法
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- エクスポージャー法は、不安や不快を感じさせることに対して、あえて向き合っていくことで、不安や不快を引き起こす刺激と上手に付き合っていく方法を学んでいくものです。 不安症・強迫症に悩んでいる方の心理的不安や恐怖、またそれに伴うめまいや腹痛などの症状へも有効です
言葉だけを聞くとなんだか難しそうと感じてしまうかもしれませんが、すべて日常生活に取り入れられるものばかりです。マインドバディであれば、プロのカウンセラーと一緒に認知行動療法のスキルを身につけていくことができます。あなたにとって必要なスキルを一緒に身につけていきましょう。